スイーツ作りにお勧めのグルテンフリー粉は何ですか、というご質問をいただくことがあります。残念ながらすべての焼き菓子にうまくいくグルテンフリー粉はないものの、グルテンフリースイーツ作りを一層楽しめるよう、8種類のグルテンフリーの粉とそれぞれの特徴をご紹介します。
グルテンフリーに関心を持ち始めたり、アレルギーなどでグルテンフリー生活を始める方にとって、最初は何を選んで良いのか分からないと思うかもしれません。
私もグルテンフリーを始めて4年になりますが、最初はこんなに色々な選択肢があるとは知らず、いつも同じ粉ばかり使っていました。でも作るものによってはうまくいかないこともあり、色々な粉を試す中でそれぞれの粉の特徴が分かってきて、少しずつうまく使いこなせるようになってきました。
ここではアメリカでよく見かけるグルテンフリーの粉とその特徴をご紹介したいと思います。日本ではあまり見かけないものもあるかもしれませんが、その場合はオンラインショップ(iHerbなど)でい意外と安く入手することができます。また、日本であまり見かけないものであれば、ハワイに来られた際のお土産としても喜ばれるかもしれません。
グルテンフリー粉を使いこなすコツ
グルテンフリー粉をうまく使いこなすための唯一の共通ルールがあるとしたら、代替粉に小麦と同じ機能を期待しないことかもしれません。小麦粉に含まれるグルテンは、もちもち感や、ふわっとした食感を出したり、粘り気があるので材料をうまくつなぎ合わせくれます。また小麦後は焼くと香ばしい香りがして、美味しそうな焼き色も付きます。
でもどんなグルテンフリー粉も、小麦粉と全く同じ働きができるものはありません。そのため何を作るにせよ、小麦粉を適当なグルテンフリー粉に置き換えるだけではうまくいかないことが多々あります。
お勧めは、数種類のグルテンフリー粉を組み合わせて使うことです。それによって機能を補完しあえるからです。例えばアーモンド粉やココナッツ粉は単体ではまとまりにくいですが、コーンスターチやタピオカ粉などと組み合わせることでまとまりやすくなります。
また単に小麦粉の代用として使うのではなく、ベイクドオートミールのようにオーツ自体の味や食感を楽しみながら、料理やスイーツ作りに生かしていくのが良いと思います。
それでは小麦粉の代替になる様々なグルテンフリーの粉を見ていきましょう。
グルテンフリー粉
1.オーツ粉
オーツ粉とはオーツを粉砕したものです。焼くと香ばしい香りがし、オートミールクッキーやマフィンなどでは、小麦粉の代わりにそのまま使うこともできます。
しっとりとするため、ふわふわとした食感を出すためには、他のグルテンフリー粉と組み合わせて使う必要があります。
栄養面では食物繊維が豊富なのが特徴です。
オーツ自体はグルテンを含まないものの、生産や製造過程においてコンタミネーション(グルテンの混入)がある場合があるため、グルテンを食べられない方は、グルテンフリーと明記されているか確認してください。
オーツ粉はロールドオーツから手作りすることもできます。(自家製オーツ粉の作り方)
2.そば粉
そば粉はグルテンフリーで、小麦粉や全粒粉と同量で置き換えることができるため使いやすいです。パンケーキ、クレープ、パウンドケーキ、パンなどに向いています。
ぼそぼそした食感になるため、米粉などと組み合わせて使うと良いでしょう。
栄養面では、ビタミンB群、ミネラル、抗酸化物質のポリフェノールルチンが含まれます。
そば粉は、生産・製造過程においてコンタミネーション(混入)がある場合があるため、グルテンを食べられない方は、グルテンフリーと明記されているか確認してください。
3.アーモンド粉
アーモンド粉は、アーモンドの皮を剥いで、粉状にしたものです。
低糖質で高タンパク質のため、糖質制限やパレオダイエットのレシピでよく使われています。小麦粉の代わりに同量で置き換えて使うことができます。ケーキ、マフィン、パイのクラストなどに向いています。
栄養の面では様々なミネラル、ビタミンE、一価不飽和脂肪酸などを含みます。ただ1カップ(240㎖)のアーモンド粉には90粒のアーモンドが使われているため、脂質やカロリーも高くなります。
私はアーモンド粉を使うレシピでは、アーモンドを高速ブレンダーで粉砕して代用することが多いです。
4.ココナッツ粉
ココナッツ粉は乾燥させたココナッツの実を粉状にしたものです。
香りが良いため、焼き菓子などでココナッツの香りを残したい場合は良いですが、そうではない場合は使う量に注意が必要です。
小麦粉や他の粉に比べ、水分を非常によく吸収するため、量を調整しないと生地がパサパサになってしまうことも。また、まとまりにくいため、焼き菓子を作る場合は、ココナッツ粉単体ではなく、他のグルテンフリー粉と合わせて使うと良いです。個人的には焼き菓子よりロースイーツなど焼かないスイーツに使いやすい印象です。
栄養面では低糖質で食物繊維を多く含みますが、高脂質(飽和脂肪酸が多い)です。
5.ソルガム粉
ソルガム粉は、世界5大穀物であるソルガム(日本語ではモロコシ/タカキビ)を粉状にしたものです。
小麦粉に似たテクスチャーで使いやすいです。グルテンフリーの粉と組み合わせて使われることが多いです。
栄養面では食物繊維、ミネラル、抗酸化物質ポリフェノールを含みます。
6.ひよこ豆粉
ひよこ豆粉は、乾燥ひよこ豆を粉状にしたものです。
もっちりとした食感になるのが特徴的。クッキーやマフィン、フラットブレッドなどに向いています。
ずっしり重いケーキになり、膨らまないのでふわふわのケーキには向きません。またチョコレート味とはあまり合わないように思います。
栄養面では植物性たんぱく質、食物繊維、ミネラルを含みます。
7.タピオカ粉
タピオカ粉はキャッサバの根を乾燥させたものです。
使い方は片栗粉と似たようなイメージです。スープやソースにとろみをつけたり、他の材料をつなぎ合わせたりするのに便利。香りも味も残らないためとても使いやすいです。
グルテンフリーの粉同士をつなぎ合わせるのにも便利です。あまり大量に入れすぎると粉っぽくなるので、メインの粉として使うのではなく、グルテンフリー粉の繋ぎとして少量使うのが良いでしょう。
栄養面では、ほぼ炭水化物でそれ以外の栄養はあまり含まれていません。
8.葛粉(くずこ)
葛粉は葛の根から得られるデンプンを精製した粉です。
とろみをつけるために使われます。冷やすと固まるため、プリンやムースを作る時にゼラチンや寒天の代わりとしても使えます。焼き菓子に使うとサクサクした食感になるため、クッキーやパイのクラストなどにも使えます。
栄養面では、ポタジウム、ビタミンB群、鉄分などを含みます。葛は日本では古くから植品や生薬として使われてきたもので、血流改善などに効果があると言われています。葛根は漢方の葛根湯の主成分で、身体を温めたり、解熱発刊の効果があります。
ただし葛粉として一般的に売られているものは、サツマイモ、ジャガイモ、とうもろこしのデンプンが混入したものが多いそうです。葛粉100%のものを入手したい場合は、本葛(ほんくず)と書かれたもので、かつ原材料をしっかり確認したうえで購入することをお勧めします。(本葛でも100%ではないものがあるため)
まとめ
一言でグルテンフリーの粉といっても性質や栄養価も異なるため、何種類かのグルテンフリー粉を常備して、用途によって使い分けると失敗なくうまく使いこなせるようになります。
私はロールドオーツ(粉砕してオーツ粉にする)、そば粉、タピオカ粉を常備していて、その時々で、ひよこ豆粉やココナッツ粉などその他のグルテンフリー粉を試してみています。これからまた色々と試して、情報を追加していきたいと思います。