健康診断の結果は問題がないのに、なんだか体調が優れない、疲れやすいといった症状を抱えていませんか。
健康診断で問題がないからといって健康とは限りません。健康診断では問題がなくても、身体がだるくて重い、何時間寝ても朝すっきり起きられない、肩こり、腰痛、生理痛など慢性的な痛みを抱えている、という方はぜひ、診断結果を自分なりに分析して生活の改善につなげてみましょう。
私は6年前に身体を壊すまで、健康診断で医師から何か指摘されない限り、自分は健康だと思っていました。その一方でいつも、片頭痛、生理痛、だるさ、肩こり、腰痛、貧血など数えきれないほどの不調を抱えていたのです。今になって過去の健康診断結果を見返してみると、年々数値が悪化しているものや基準範囲ギリギリのものなど、身体の不調は数値にも出ていたことが分かります。もしあの頃、診断結果を自分なりにしっかり見ていれば、身体を壊す前に手を打てたこともあったのにと思います。
健康診断を受けても何もしていなかった私も、ハワイに来たことで意識が変わりました。日本にいた頃は家や会社の周りにたくさん病院があり、医療費も安いので体調が悪くなるとすぐに病院に行ってお薬をもらっていました。でもハワイではどこの病院でも診てもらえるわけではなく、かかりつけ医に行かなければ診てもらえません。病院も遠いし事前予約が必要、しかも医療費が非常に高いのです。そのため病気になってから病院に行くのではなく、病気にならないようにするためには何をすれば良いのか、と考えるようになりました。
大いなる勘違い
以前の私は、自分の身体なのに自分でケアすることなく医者任せ。何か指摘されるまで何もしないという受け身の姿勢でした。それは健康診断に対する考え方がそもそも間違っていたからです。自分の健康管理をするのは医師ではなく自分なのです。
医者が見るのは数値だけ
医者が病気を判断するのは基本的には診断の数値のみです。私たちの食生活、運動、ストレスなどのライフスタイルからホリスティック(全体的)な観点で診断するわけではありません。同じ数値でも体調が良いと感じる人もいれば不調だと感じる人もいます。でも基準範囲内なのにわざわざアドバイスをくれる医師はほとんどいないと思います。医師の仕事はあくまで基準範囲を超えたもの(病気)に対処することです。基準範囲内の症状(未病の状態)にまでアドバイスするのは医師の仕事の範疇外であり、未病の状態を見極めて改善するのは自分の責任なのです。
基準範囲内でも健康とは限らない
健康診断の基準範囲は年齢に関わらず一律です。例えば血圧の正常範囲は「収縮期が140未満」且つ「拡張期が90未満」ですが、20歳で130と70歳で130では意味合いが全く違ってきます。
そのため、基準範囲内だからと言って安心せず、自分の年齢や体調によってもう一歩踏み込んで考える必要があります。
薬で治るわけではない
診断結果によって、高血圧、高血糖、貧血などを指摘され、薬を処方されることがあると思います。でもいくら薬を飲んでも、不快な症状を軽減することはできても、不調自体は治りません。根本的な原因に向き合わなければ同じことを繰り返すだけです。
根本的な原因と解決策は、仮説を立てて検証しながら自分で見つけていくものです。医師や薬を頼るなという話ではありません。辛い症状を緩和するために必要な薬やサプリは活用すれば良いと思います。でもそれらはあくまで一時的な対処法にしかならないということです。
診断後やるべきたったひとつのこと
健康診断の結果をもらったら、経年比較をしてみましょう。詳しい知識がなくても、医師から指摘されなかった項目でも、数年間の流れを見るだけで自分なりの気づきや発見があるからです。
なぜ健康診断を受けるのかといえば、病気を予防するためですよね。それなのにただ健康診断を受けるだけで、医師から何も言われなければ何も対応しない、というのは本当にもったいない。診断結果には色々な情報が詰まっています。
診断結果は最低でも3年~5年分を比較できるように、エクセルなどで一覧にすると良いでしょう。その蓄積したデータから確認するポイントは2つです。
・悪化し続けている数字がないか
・基準範囲(上限または下限)ギリギリのものがないか
これらを確認し、課題が見つかったら、食事や睡眠などの対策を検討していきましょう。
私は健康診断結果をもらったら、毎回その結果をエクセルに打ち込んでいます。すでに10年以上の検査結果を一覧で確認できるため、数字が悪化すればすぐに見つけることができます。
年に1回でもしっかり確認し、小さな改善を重ねていくことで、長期的には大きな病気を予防することになります。健康診断で異常値が出たときにはもう病気になっている、ということになりかねません。できればそうなる前に手が打てると良いですよね。
健康診断結果の見方
検査項目やその意味、基準範囲については日本人間ドック学会のHPなどを参考にすると良いでしょう。
診断結果をもらってもよく分からないから放置してしまう、という方もいらっしゃるかもしれません。検査項目は多岐に渡るため全てを細かく把握する必要はありませんが、大まかな内容は把握しておくと良いと思います。
余談:ハワイの健康診断
日本では企業や自治体が健康診断を無料でやってくれますが、ハワイではそういったものはないので自主的にかかりつけ医(ホームドクター)のところへ受けに行かなければいけません。健康診断の費用は、加入している保険によって、1回分は無料だったり、全て有料だったりします。
受診する内容も日本のように皆一律というわけではありません。ホームドクターの判断でそれぞれの患者の健康状態に応じて必要な検査を行うようです。私(40代、基礎疾患なし)の場合、血液検査と検便だけです。尿検査や心電図はなく、胸のレントゲンは数年に一回程度。支払いは20ドルほどです。ハワイに来て初めて受診した際に一通りの検査をし、その際は150ドルほどしましたが、その後は必要な検査しかしない、という印象です。一方で気になる症状があり詳しい検査をしたいときに、家庭医の了解がないと原則は専門医に診てもらうことはできない(もしくは保険適用にならない)のは少々不便に感じます。