最近の調査によると、ダークチョコレートに高濃度のカドミウムと鉛が含まれていることが分かりました。ダークチョコレートを一切食べてはいけないという話ではありませんのでご安心ください。ただダークチョコレート好きであれば知っておいて損がないことだと思い、詳細を調べました。

ダークチョコレートは、血圧の低下、コレステロールの改善、心臓病のリスクの低下など、色々な健康上のメリットがあると言われてきました。また最近の健康志向もあり、砂糖たっぷりのミルクチョコレートより、砂糖が比較的少ないダークチョコレートを選ぶ方も多いのではないでしょうか。そんな「体に良い」イメージがあるダークチョコレートですが、一部の研究では有毒な重金属を含む可能性があると警告しています。
カドミウムと鉛
2022年12 月に発表されたConsumer Reportsの調査によると、様々なブランドの28 のダークチョコレートバーのうち、23本のバーにおいて、成人が1日28g食べるだけで有害なレベルのカドミウム、鉛、またはその両方が含まれることが分かりました。
テスト対象になった28のチョコレートには、Lindt’zやDoveなど有名ブランドのものから小規模ブランドのものまで含みます。個人的は、健康や環境の観点でも良かれと思って選んでいたオーガニックやフェアトレードのダークチョコレートほどカドミウムや鉛の量が多い傾向があるということを知り戸惑いました。
Consumer Reports の調査は査読を受けていない点には注意が必要ですが、2005年の他の査読済み研究や、2018年のFDA(米国食品医薬品局)の研究においても、ダークチョコレートと重金属汚染の関係について似たような結果が発表されています。日本でも2008年に厚生労働省のレポートで高カカオチョコレートとカドミウムの関係について示唆しています。

リスクと摂取量の上限は?
たとえ少量の重金属であっても、継続的かつ長期的にさらされると、高血圧、免疫力低下、腎族の損傷、生殖障害など、さまざまな健康上の問題が発生する可能性があります。重金属は脳の発達に影響を与え、IQ低下につながる可能性があるため、特に妊婦や子供にとってリスクが高いと言われています。
カドミウムについては、米国有害物質疾病登録局によると、リスクを最小にするための1日の最大摂取量は、130 lb(59kg)の人で約 6μg(マイクログラム)です。2018 年の FDA レポートによると、28gのダーク チョコレートには約 7.6 μgのカドミウムが含まれています。また米国の人々は色々な食品から 既に平均 5 μg /日 のカドミウムを消費しています。2004年の調査によると日本人は21.4μg /日 摂取しているそうです。
鉛については、米国では安全な摂取レベルの設定はありません。これは血中の鉛レベルがどれほど低くても、子供の神経発達へ悪影響を及ぼす可能性があるからです。
つまり通常の食事に加えて定期的にダークチョコレートを摂取すると、カドミウム、鉛ともに摂取しすぎる可能性があります。重金属は何十年にも溜まり蓄積するため、どの食品に高レベルの重金属が含まれているかを知り、制限することでリスクを最小化することができます。
どうすれば良いのか?
ダークチョコレートを完全に諦める必要はありません。ただどれほど体に良い効果があると言われている食材でも、度を過ぎればデメリットもあり得るため、食べ過ぎないことが大事です(ダークチョコレートに限らず全て食材に言えることです)。そのため健康のために積極的に食べるのではなく、嗜好品としてほどほどに食べることが良いかと思います。
リスクを抑えるためにできることとしては、このようなことがあります。
- 健康な人であれば週に2〜3程度、少量だけ嗜む
- できるだけ重金属が少ないチョコレートを選ぶ(As You Sowで各ブランドに含まれる重金属の量を調べることができます)。ただしその多くはミルクチョコレートなどの甘いチョコレートになります。
- 妊婦は食べない、または極力減らす
- 子供には与えない
参考記事
Lead and Cadmium Could Be in Your Dark Chocolate/Consumer Reports
Do I need to avoid Dark Chocolate now?/New York Times
Toxins in Chocolate/ As You Sow