2010年代になってから、プラントベースという言葉をよく耳にするようになりましたが、そもそもプラントベースとはどういう意味?ヴィーガンと何が違うの?ということについて解説します。
プラントベースとヴィーガンの違いとは?
どちらも植物性の食品を中心に食べると言う点では似ている部分がありますが、食事法(何を食べるか、食べないか)という意味合いでの主な相違点はこちらです。

ただ、「ヴィーガン」という言葉は、ただの食事法にとどまらず、動物性のものを利用しないという思想や生き方を包含します。そのため、食事法としてのヴィーガンは英語では「ヴィーガンダイエット(Vegan diet)」と分けて表記されます。
なので、ここでも、ヴィーガン(Vegan)とは分けて、食事法に限ったヴィーガンのことを、ヴィーガン食と記載します。
※英語の「Diet/ダイエット」とは「食事」のことを指しますが、日本語では「ダイエット=痩身」の意味合いが強いため、
プラントベースダイエット(Plant based Diet)→プラントベース食
ヴィーガンダイエット(Vegan Diet)→ヴィーガン食
と記載しています。
ヴィーガンとは?

1.ヴィーガン食(Vegan Diet)とは
動物由来のもの(肉類、魚介類、卵、チーズなどの乳製品、ハチミツなど)を一切食べない食事法のこと。ヴィーガン食を選択する理由は、倫理的理由、動物福祉、環境保護、健康のためなど、人それぞれです。
2.ヴィーガンの経緯
1944年、イギリス人のドナルドワトソン(ヴィーガンソサイエティの創設者)が、乳製品を摂らないベジタリアンを表す別の言葉の必要性を感じ、Vegetarianの最初の3文字と最後の2文字を組み合わせ、ヴィーガンという名前を生み出しました。(※参照1)
ヴィーガンを実践していることをヴィーガニズムと呼びます。
ヴィーガニズムは、倫理的な意味合いや動物福祉の観点からのみならず、環境や健康への関心からムーブメントになっていきました。
時を経て、段々と動物福祉の観点というより、健康や環境への配慮からヴィーガン的な食事法をする人が増え、今日では、ヴィーガン食とは「動物性の食品を一切食べない食事法」と言う意味合いで使われることが一般的になっています。(※参照2)
3.ヴィーガンは健康的?
ヴィーガン食による健康上のメリットもありますが、ヴィーガン食だからと言ってヘルシー、ということではないので注意が必要です。
特に近年、ヴィーガンの加工食品が増え、高カロリーで、砂糖をたっぷり使った栄養価の低いヴィーガンジャンクフード(ヴィーガンクッキーやポテトチップスなど)なども手に入りやすくなりました。こういったものばかり食べていたら、ヴィーガンだからといってもとてもヘルシーとは言えません。
プラントベースとは?

1.プラントベース食(Plant based diet)とは
主に植物性由来のものを食べる食事のこと。倫理的な意味合いはなく、全く動物性のものを食べないということではありません。人によっては動物性のものを一切摂らない人もいれば、少量摂る人もいます。
2.プラントベースの経緯
1980年に、アメリカ人のT.コリン・キャンベル PhDが、低脂肪、高食物繊維、野菜中心の食事法のことをプラントベース食と定義付けました。倫理的な意味合いはない、単なる食事法のことです。
数年後、健康を促進するのはサプリメントなどから摂る個々の栄養素ではなく、ホールフードの植物性食品であるということを明確にするために、ホールフードという言葉を追加しました。(※参照2,3)
3.ホールフード・プラントベース食(Whole food, Plant based diet)とは
プラントベース食と同様に、野菜、果物、全粒穀物、豆類中心の食事法ですが、特に、ホールフード(食材丸ごと、未精製または極力精製されていない)植物性食品を摂ることに重きを置いた食事法のことです。
プラントベースとヴィーガン、違いのまとめ
以上をまとめますと、どれも植物性由来のものを中心に食べるという点では共通していますが、主な違いは、
1.ヴィーガン食は倫理的な背景もあるが、プラントベース食には倫理的な意味合いはなく、単なる食事法のことを指している
2.ヴィーガン食は動物由来のものは一切排除しているが、プラントベース食は極力避けることとしている
3.ホールフードプラントベース食では、特にホールフードを摂ることを推奨している
という点です。
所感
食事法という視点でそれぞれのルールの比較を行いましたが、どちらが良いとか悪いとかいうことではありません。個人的には、特定の食事法やルールに捕らわれ過ぎないようにしたいと思っています。身体が欲するものが、その時の身体にとって必要なものだからです。
私もここ3年は、敢えて言うならば、ホールフード・プラントベースの食事をしていることになりますが、「プラントベース食のルールがこうだからこれを食べる/食べない」と考えて食べているのではなく、身体に必要なものを食べていたら、現時点(2020年時点)では、結果的にそれに近い食べ方をしている、というだけのことだと思っています。
自分の身体も歳とともに変わっていきますし、時代も環境も変わっていきます。なので、これをずっと続けるかも分かりませんし、こうでなければならない、などということはないと思っています。
ただ、プラントベース食が、その時々で流行する食事法と大きく違うと感じるのは、これは単なる流行ではなく、むしろ原点回帰だということです。特別な食事法などしなくても、加工食品や精製食品が普及する前の、私の祖父母の時代の人たちが食べていたようなものを食べていれば、大きく健康を崩すことはないのかな、と思っています。